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中村俊輔の腰痛を体験してみよう

 先日のオマーン戦で中村俊輔選手(レッジーナ)はフェイントからの見事なクロスボール(サイドからペナルティーエリア内への長いパス)でアシストを決めました。美しい。うつくしいよ。

 今シーズンは、代表でもクラブチームでも大活躍の中村選手ですが、昨シーズンは持病の腰痛であんまり活躍できませんでした。中村選手が腰痛持ちなのは、新婚さんだからではなくて、そのプレーが影響しています。
 ここで、中村選手の腰痛を体験してみましょう。

 中村選手と言えば左足からのアーチを描くすてきなフリーキックで有名ですが、もう一つ、大きな切り返し(右に行くと見せかけて、左に行く。あるいはその逆)も魅力の一つです。片方に重心をかけた状態で、腰を軸にエイッって感じで強引に逆を向き、相手を置き去りにします。
 かなりかっこいい切り返しなのですが、この切り返しは腰にものすごい負担を与えてしまうのです。

LESSON 1
1.まず、肩幅程度に足を開き、左足のつま先に体重をかけてください。
2.右足のつま先に体重をかけて重心を移動します。
3.重心を移動した瞬間、腰を中心に左を向いてください。

どうですか。ちょっと腰がきつくないですか。
大丈夫な方は次のステップへ

LESSON 2
1.足をもう少し開いてみましょう。
2.次に腕を斜め45度くらいに開いて、左を向く時に反動をつけられるようにします。
3.この状態で、LESSON 1を素早くやってみましょう。

どうですか。かなりきついでしょう。
私はきついので、ここでやめておきます。まだ大丈夫な方は次のステップへ

LESSON 3
1.軽く助走をします。
2.スピードに乗った状態からスピードを落としつつ左足でストップします。
3.そこから素早くLESSON 2を実行してみましょう。

ここまでやると、運動不足の人はギックリ腰になります。要注意です。

みなさんは腰が痛いだけですが、中村選手はボールをコントロールしながら切り返して、すぐにルックアップ(顔を上げて状況を確認)して、正確なパスを送ります。すごいね。

ちなみに横浜マリノスの久保選手も、こういう大きな切り返しをやりますが、やはり腰痛持ちです。

盛り上がらない試合

 プロ野球日本シリーズが全然盛り上がっていないそうです。名古屋(中日)ではそれなりに盛り上っているそうですが、所沢(西武)はそうでもなくて、そもそもプロ野球では全国的な盛り上がりがないとダメなようです。

 結局、スポーツ観戦というのはスポーツそのものよりも、盛り上がったかそうでないかで、その価値を決められてしまいます。私が観たJリーグの試合の中で、最も盛り上がらないとされた試合は、Jリーグ暗黒時代の真っ只中、99年の3月某日、国立競技場での鹿島-広島戦でした。

 その日はとても寒かったのです。ひたすら寒かった。全然お客さんがいません。ゴール裏のわずかにサポーターが震える声を絞り出すのが精一杯。
 春先で、昨日まで暖かかったため、薄着で来たのが間違いでした。国立はほとんど屋根がないため、ダイレクトに雨交じりの冷たい風がぶちあたります。間違いなく体感温度は零下。

 「どっちでもいいから、90分で勝ってくれ!」試合開始前から、ただそれだけを願っていました(当時は90分で決着がつかない場合延長戦があった)。鹿島アントラーズ発足以来のファンであるこの私が、勝利以外のものを優先した唯一の試合でした。

 そんな状況にもかかわらず、両者譲らず、前半0-0。ばか!ばか!お前らの戦いぶりにこんなにガッカリしたことないわっ!
 途中で帰ろうにも、私と友人が座っていたのはサポーター席のど真ん中、ちょうど鹿島サポーターの応援団長(という名前なのかはわからないが、それっぽい人)の真後ろです。試合途中で席を立ってしまったら、Jリーグ一過激なサポーターたちにどんな目に合わされるかわかりません。

 しかしそのサポーターたちも、さすがにこの劣悪な環境に、だんだん応援の声も小さくなり、そのうちまったく声が出なくなってしまいました。すると、私の目の前にいた団長が「寒いのはわかる!俺脱ぐから!お前らも声だしていこうぜ!」と言って、おもむろにアントラーズスタジャンを脱ぎ去り、上半身裸になって激を飛ばしました。
 団長の体から立ち上るおびただしい湯気。それをきっかけに、みんな変なスイッチが入ってしまい、全身全霊、力の限りに応援しました。あれほど、一体感のある応援に参加することはもう二度とないでしょう。

 結局後半30分ぐらいだったと思うのですが、鹿島が1点とって勝ち、試合は無事90分で終了しました。試合そのものの内容は様々なことに気を取られていてよくわかりませんが、おそらくダメでした。

 この試合は国立競技場始まって以来の最低動員を記録しました。私はこの試合のことを一生忘れません。

ナイター視聴率が過去最低 日本シリーズ第3戦

日常に潜むオフサイドトラップ

 サッカー観戦の初心者が、まず最初につまずくのがオフサイドというルールだと言われています。オフサイドというのは「パスを出す時に、パスを受ける人と、ゴールとの間に、敵が二人以上いないとダメ」というルールです。
 字面だけ追えば何となくわかる気がするのですが、このルールを逆手に取った、「オフサイドトラップ」と言われる戦術を利用して、敵味方様々な駆け引きが行われるので、観戦経験の少ない人は、いったい何がなんだかわからなくなってしまいます。

 オフサイドを理解するためには、オフサイドトラップを実際やってみるのが一番の近道だと個人的には思っています。そして、オフサイドトラップは生活の中で利用することが可能な戦術なのです。

 ここで、『スムーズに横断歩道を渡る』をテーマにオフサイドトラップを実践してみましょう。

 渋谷のスクランブル交差点のように、多くの歩行者が横断する交差点では、スタートが遅れると、いろんな人に進行方向を遮られ、横断に苦しむことがあります。そこで、オフサイドトラップです。

 まず、信号が青に変わるタイミングを把握しておきましょう。つぎに、青に変わる3~5秒ぐらい前に一二歩、前に飛び出します。すると、何人かの人がつられて前に飛び出すはずです。この人たちがオフサイド!
 前に飛び出した人たちは「あれっ、まだ赤かよ!」という感じで、一瞬足を止めてしまいます。そこで、信号が青に切り替われば、あなただけが先頭を切って横断歩道を渡れるはずです。彼らが足を止めた瞬間に信号が青に変わるようにタイミングを計るのがコツです。

 同じような状況として、『混んでる電車の席に座る』『焼き肉で一番大きい肉を取る』『銀座でタクシーを拾う』など、いろいろあります。

 ちなみに私は、学生時代、クラスの百人一首大会で、一首も知らないにもかかわらず、74枚の札を取って優勝し、クラス担任から手書きの表彰状を頂きました。すべてはオフサイドトラップの成果です。

 さあみんな!レッツ!オフサイドトラップ!

JリーグNo.1の才能

 サッカーの長いこと観ていると、時折「こいつ、ものすごい選手になるんじゃないか」と思わせる才能に出会ったりします。もうそうなると、その選手のことが気にかかってしかたがありません。
 私が今一番気になる選手を紹介させてください。もう何年も彼のプレーを追い続けています。もうすぐブレイクすることは間違いありません。

 その選手とは、ヴィッセル神戸のFW和多田充寿選手です!

 ・・・えっ、そんなやつ聞いたことない?

 10月2日の東京V戦、ケガから復帰した和多田選手は後半途中から出場し、2点を取ってチームを勝利に導きました。その2点目、彼は25mのロングシュートを決めましたが、すばらしいシュートでした。
 ヴィッセル神戸オフィシャルページの試合記録にはそのシーンをこう説明しています。

「和多田充寿2点目!! ルーズボールを得た和多田、そのままドリブルし振りぬいた右足シュートは、右上にホップしながらゴールネットに!」

 私はこのシーンをテレビで見ていました。シュートの際、和多田選手は軸足のかかとでしっかり地面を捉え、まっすぐに右足を振りぬきました。この時、上半身はほとんどぶれていません。上半身がぶれていないということは、ボールにしっかりと力を伝えているということです(ふらつく自転車がちゃんと走れないのと同じ原理です)。
 強いシュートを打ったあと、多くの選手が軸足を浮かしバランスを崩しますが、和多田選手はシュートを打った後、軸足を浮かしながらも、上半身はバランスを崩していませんでした。これは、インパクトの瞬間左足から、シュートを打つ右足へ、股関節を利用してスムーズに重心移動を行っているためです。こういった高度な重心移動ができる選手は日本代表でもあまりいません。
 見ていて本当に興奮しました。

 というわけで、私は長年、和多田選手に注目し続けているわけですが、そんな彼も、もう28歳になってしまいました。

 いい加減ブレイクしろ!

ヴィッセル神戸オフィシャルページ
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