三ツ沢で会いましょう (2) - グラウンド探して三千里 - | 普通の人が読むサッカー

三ツ沢で会いましょう (2) - グラウンド探して三千里 -

 『ハマスポどっとコム』という横浜市が運営するサイトがあります。このサイトから横浜市内の公共・民間のスポーツ施設が検索でき、市民が利用できるサッカーグラウンドも探すことができます。実際探してみると13件検索されました。
 しかし、横浜市には18の区があります。ですので、数字的には5つの区には、利用できるサッカーグラウンドはないと言うことになります。

 これではちょっとグラウンドの数が少ないのではないかと思われるかもしれません。もちろんこのサイトに登録されてないグラウンドもおそらくあるのでしょうが、横浜市はサッカーグラウンドの数が実際に少ないのです。

 社団法人横浜サッカー協会という組織があります。横浜市で活動するサッカーチームが登録されており、子供からシニアまで、各年代の大会を運営していますが、そうした大会のグラウンドの確保は大変です。横浜市の社会人リーグでさえ、年度によってはリーグ戦を全日程消化できないでいます。
 アマチュアならまだしも、実は、れっきとしたプロチームである横浜FCもまた、練習用のグラウンドをなかなか確保できないでいます。

 横浜FCのリトバルスキー元監督(元ドイツ代表)はチームについてのインタビューに答えるとき必ず「グラウンドがない!」とコメントしていました。この『横浜FCにまともな練習グラウンドがない』という事実は、リトバルスキーのコメントとともにFIFA(国際サッカー連盟)のホームページにも掲載されました。
 というわけで、ワールドカップ決勝戦の地にグラウンドがないという、ちょっと間抜けな事実は、ドイツを世界一にした往年の名プレイヤーの発言とともに、世界に発信されてしまったわけです。これでは横浜市民でなくとも、横浜市に抗議したくなるかもしれません。確かに、中田宏現横浜市長が今までにやったことと言えば『ゴミの分別を13種類に細分化しただけ』などと巷で言われているようです。

 下の数字は、代表的な政令指定都市の平成16年度予算です。この金額がすなわち、各都市の市民サービスに使われる金額です。

  横浜市   1兆3010億円
  大阪市   1兆7577億円
  名古屋市  1兆112億円

 いずれも日本を代表する都市ですので、1兆円を越す予算が組まれています。3つのうち、最も多いのが大阪市、真ん中が横浜市、少ないのが名古屋市です。しかし、これだけではなんともいえません。次を見て下さい。次に示したのは、各都市の予算額を人口で割ったもの、つまり市民一人当たりの予算額です。

  横浜市   36万5000円
  大阪市   66万7000円
  名古屋市  45万8000円

 予算総額では真ん中だったはずの横浜市は、一人当たり予算では最下位、しかも、大阪市と比べると30万円もの差があります。なぜこういうことになるかと言うと、大阪市の人口263万人、名古屋市220万人に比べ、横浜市は355万人と圧倒的に多いのです。
 この数字からわかるのは、横浜市は『子だくさん貧乏都市』であると言う、衝撃の事実なのです。横浜市はサッカーグラウンドを作らないのではありません。お金がないので作れないのです。

 確かにグラウンドの数は足りません。圧倒的に足りない。しかし、Jリーグが始まって、昔よりはましになりました。むしろ『子だくさん貧乏』にもかかわらす、6万人のスタジアムを建設し、そこにワールドカップ決勝を誘致したことはまさに偉業です。

 とはいっても『横浜FCにまともな練習グラウンドがない』という事実はなかなか変わらないでしょう。だからと言ってそのフラストレーションを、中田宏市長にぶつけるのは必ずしも正しいことではありません。
 横浜市の総世帯数は148万9727世帯です。一世帯あたり13個のゴミ箱需要が発生すると仮定すると、横浜市内において1936万6451個のゴミ箱消費が発生します。ゴミ箱の経済効果によって、横浜市の財政状況が好転することを祈りましょう。